Beijing 3/25−28

 

3/25

とりあえず口語の勉強のため中国語のドラマを見始めた。《大江大河》というタイトル。改革開放あたりのお話で、主題歌と映像が美しい。扱っている時代もあって、弟のために進学を諦める姉、という展開が初回にある。あくまで父母弟は進学してほしいと思っているが時代と理不尽な抑圧による彼女自身の選択であり…という描かれ方で、うまいとこ落としたなと思ったけど、いや彼女が選択をせざるを得なくなるってことがそもそもだろうが〜〜!!とぶり返したところでこの話は終わり。

弟のビジュアルが鍬を持って育った山口一郎という感じで、よいな。5話くらいまで見た。

 

3/26

口語の授業。夜、先生に呼ばれて师哥と共に食事に行く。日本から来た男性をもてなす会だったのだが、久々に、弄るのに丁度よい若い女として性的に扱われているな、という時間だった。中国に来てからはそういったことから遠のいていたので油断してた。先生の招待であるし、男性の発言はついそれなりに対応してしまったけど。(いくつかは気持ち悪すぎてさり気なく無視した)一定年齢以上かつ一定の階層にいる日本人男性、なぜ人の良さそうな顔でミソジニーベースで喋ってくるのだろう。もちろん個人的な観測だけど。それはコミュニケーションではないのですが…そもそもコミュニケーションの場じゃなかったか、「もてなし」だもんな……と落ち込んだので、この話もやめよう。お酒とご飯は流石先生の選択で、本当に美味しかった。食べること自体は好きなので、日々沢山新しい味を知れて嬉しい。それに学部生のときに比べたら色々なことに怒れるようになってきたので、まあ少しは成長したのだと思う。

 

 

3/27

明日までの国家博物館での展示を見ようと思って、聴講の授業を抜け出して1時間半ほどかけて天安門まで来たが、なぜか柵がしっかり閉まっていて入れない。警備員に聞くと、「閉館だから来月にまた来い」という。そんなわけ無いだろうと食い下がったが、駄目なものは駄目だった。そうだよね。

後でWeiboで調べたら、20日から臨時休館になっていて、再開日は決まっていないらしい。全員Weibo見てると思っていやがる。何も知らないで訪れた外国人や老人が、同じように立て続けに警備員に尋ねていた。看板くらい出してくれたらみんな幸せになるのになあ。

 

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天安門広場

そのまま1号線で玉渊潭公園に行く。北京でも桜は満々と咲いている。これまで特に東京が恋しいとは思ってなかったけど、桜の波が目に入った時、瞬間的に感情が湧いてきて驚いた。桜は人生のエモーショナルな記憶とよくよく紐付けられているからか。東京もそろそろ桜が満開になるでしょうか。

公園では老若男女が到るところで楽しげに撮影会をしている。桜を眺めたりお酒を飲むよりは、桜と我々の記録を残す、ことが重要らしい。同じ花でも扱い方が異なるのが面白い。こちらの人たちはほんとに撮影されるのが上手くて、ポージングも個性があるしかわいいし、熟練しているので、赤の他人ながらついぼうっと眺めてしまう。青い柳と桜が隣り合うの、中国らしい。

おじさんたちが湖で泳いでいるのを見る。まだ寒いんじゃないの。

道沿いに咲く黄色いかわいい花はなんだろうと思っていたら、後ろの親子の会話で「迎春花」だと知った。いい名前をもらったね。

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迎春花

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帰って9時まで授業に出席。

 

3/28

昨日歩き回ったからか、寮の暖房が停止したからか、完全に風邪を引いた。朝の授業はなんとか出たけど、葛根湯飲んでおとなしく、する。

Beijing 3/21-24

3/21

口語の授業のあと、同じ授業の数人でご飯を食べる。英語圏から来た人たちと中国語でやり取りするの楽しいな。根が卑屈なので留学生同士だとずっとどぎまぎしていたけど、お互いの母語でなければ対等に会話できる気がする。

 

3/22

やっとパスポートを受け取った。X1ビザ(180日以上の留学)だと居留手続きが必要で色々と面倒だ。実はパスポートの期限が今年中なので、パスポートとビザの再発行、学校への届出、居留手続きがもう一回発生する。その期限が留学終了10日前なんですよね、10日のためにこの一ヶ月動けない状況をまた受け入れるか〜〜〜ウ〜〜ン、め、めんどい…(最初からX2にしておいて、夏に帰って日本でパスポートとビザを再発行すれば、学校への届出だけで済んだのでは?)

なにはともあれ、これで北京の外に出られることになった。遼寧とか近場から行こうかなと思う。

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近春园遗址(大学の中の庭園)

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木蓮の下の赤子

3/23

授業に出る。のち、五道口の韓国系スーパーで砂糖と円筒形のパック、苺を買う。寮に戻って、先日貰ったウイスキーに苺を漬けた。一週間くらい待てばよいかな。部屋で火は使えないけれど、この程度の保存食ならいろいろ試せそうな気がする。別の国に来てしばらく経って、与えられた条件を掛け合わせて生活を楽しむ余裕が出てきた。やっと。思いの外緊張していたらしい。どこにいても生活からは逃れられないよ。少しの工夫で少し楽しく暮らそう。成功したら友人と飲もうか。

 

3/24

师哥が専門に関わる本を借りてきてくれて、受け取る。中国では同門の男性の先輩のことを师哥、女性の先輩のことを师姐という。先輩方にとっては私は师妹ということになる。(立場をいいことに甘え倒している。)気になる人は気になる呼び方だろうけど、留学生にとっては極々単純に、自分が受け入れられているような気がして嬉しい。

ひとまず自転車で学内を巡っているけど、広すぎて全く見きれない。到着したときには凍っていた川も解け、桃が咲き、柳に若葉が芽吹いている。

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学内の川沿い

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学内の池

 

Beijing 3/15-3/20

3/15

今日も青空だった。特に授業もなく、家事をしたり言語交換の相手を探しに行く。

 

3/16

4時間続きの授業から宴会のようなものに参加する。スコッチウイスキーを頂く。大瓶。飲みきれないので今度友人と分けようかな。こちらに来てから、私の日本での所属大学に留学したい人によく相談される。中国の美術事情にあまり詳しくないのだが、校風なのかわからないけど、学内の作品は具象かつ古典的なものに偏ってる気がするな。そのせいなんだろうか。うちの大学に夢を持ちすぎるのは心配だけど、わざわざそこに口を出すこともない。というかとりあえず一回外に出たいよね、わかる。それに中国の大学は院に行く枠が少ないのだっけ。ひとまず分かる限り伝える約束をする。

 

3/17

友人たちとMarc Quinn(中国表記:马克・奎恩)とBruno Walpoth(布鲁诺・瓦尔波特)を見た。会場の中央美術学院美術館へはバスで向かう。クインの展示は、虹彩、指紋、DNA、と題材が題材なので、つい異邦人らしく一瞬この国の身分認証システム等々を思い浮かべてしまったけれど、キャプションのどこにもそれらしきことは書いていなかった。書かない方が逆にポリティックに見られそうだけども。パンで作った彫刻作品も多く、近づくとしっかりパンの香りがする。

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《Innoscience (纯真科学)》2004

その後、友人の家に遊びに行くというので付いていったらそこもまた展示会場だった。住人に一つひとつ説明してもらう。物と物の関係から新しい意味を提示したり、地域の再開発にまつわるアーカイブ冊子にニコラ・ブリオーを引いたり、言葉と国は違うけれど同世代の感覚の近さを感じる。ただそれらよりも、生活用品に紛れるほどさり気ない作品にも体制批判の意味を持たせていたのが印象に残っている。シェアハウスや自室で作品を展示し、半クローズドで人を招くという形式は、日本でもよく美大生がやっている形式だし、自分も関わったことがあるけれど、社会が違うと全く意味合いが変わってくるな。北京での作品発表や表現の事情にまだ詳しくはないけど、来たばかりの人間にも網のようなものは見える。頭上に架かった半透明の網の中で影に潜りながら意志を持って制作すること。北京のアパートの洞穴のような廊下を抜けた先で、同世代の学生たちの活動を垣間見られたのはうれしい。

 

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アパートの廊下 壁の番号は広告

3/18

言語交換してくれるという女の子とご飯をたべる。相手の日本語レベルと全然釣り合ってないけど大丈夫なんだろうか。中国にも「指切りげんまん〜」に相当する歌があるらしい。「拉钩上吊一百年不许变」。英語圏もだけど、どうしてどこも小指を使うのだろう。

 

3/19

急にVPNがつながるようになった。やはり時期の問題らしい。あと実は北京でも普通に日本の漫画配信アプリは正常に動くんですよね。推しの人生の描写に打ちのめされているのでしばらく言及できません。

 

3/20

継続的に同じ先生の授業に出ていると、徐々にその方面の単語や言い回しが普通に聞き取れるようになってきていて感動する。墓葬とか遺址とか随葬品とか、そういうのですが…

スモッグは来た時と同じくらい強くなってきた。またマスクが必要になってきて悲しい。今日も苺が安くてうまい。

 

 

Beijing 3/12-14

3/12

午後、研究室の人らと博物館に行く。青海省の発掘調査を元にした展示。中国の遠距離交易といえば、なんとなく長安敦煌〜あとはなんか砂漠のあのへん、みたいなふわっとしたイメージがあるけど、より南、青海という中国西南部の地帯経由のルートの研究が最近盛り上がっている。その話を反映した展示は勿論現代の一帯一路構想としっかり共鳴しているわけだけど、まあそれはともかく、印刷の粒子まで数えるほど書籍で見ていた遺物をちゃんと目でみられるってね、嬉しいですね。展示情報を見ないで行ったんだけれども、直接青海省に行って見ようと思っていた諸々が割と出品されていた。みなさま、鼻息荒く写真を撮るオタクを見守ってくれてありがとう……また(資料写真撮りに)いきます。(一番目当ての遺物は覗き型のガラスケースに阻まれほとんど撮れなかった)

日々皆さんそんなにやさしくて大丈夫?って感じなんだけれども、まだ客人ということなんだよな。仲良くなりたいなあ。

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《銅鳩首犬吠牛杖首》

 

3/13

授業&授業、会食。なぜか毎日新しい人々に会っている。会話を聞くのは勉強になるし楽しいけど、ちゃんと自分でインプットする時間を取らなければ十分に話せないので、割と焦ってくる。どのコミュニティでも笑いに付いていけないのは結構寂しいことだけど、コミュニティ内でどっとなる笑いの類って文脈が複雑なものが多いし、今は諦めて普通に听力を頑張るべきなんだろう。

 

3/14

授業など。友人と五道口にいって雲南料理を食べた。汽锅鸡という鍋、黑三剁という炒め物など。美味しい。そしてあまりにサービスがいいので恐縮してしまう。アンケートには非常满意と書いて返す。ここで初めて微信支付の割り勘機能を使った。テーブルで暗算で小銭の収支を整える数分間のやり取りとか、全員諭吉か一葉しか持ってないのかよ、などの事態が発生せず、とりあえず誰かが電子マネーで払い、あとでメンバーに送金してもらう。べ、便利だね…

 

今わたしのいる部屋は、ベッド、机、シャワー、という必要最低限のものがちゃんと揃っている。結構これはこれで良いもんだ、と思っていたけど、隣棟の寮と間取りや設備に差があることが分かった。こちらのベッドは純然たる板だけど、別の棟はスプリングのあるマットレスのよう。そんな。まあベッドくらいといえばそうなんだけど、部屋の三分の一を占める要素な訳で、大きいですよ。こちとら毎日朝3時に目が覚めてんだ。知らなければ不足なりに幸せだったのですが。Ignorance is Bliss. 

しかし部屋を変えるにも、既に棟のスタッフと若干仲良くなってきてしまったので億劫だな。快適性や公平性より精神的なコストを取ろうという物草さ。とりあえずマットレスを買います…。

今日もぴかぴかの青空だった。いよいよ風が春にならんとしている。

 

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Beijing 3/10-11

3/10

友人に連れ回してもらう回(第二弾)。法海寺という北京北西の寺と雍和宮に行く。あまりに北京のことを何もわかってないのを見かねたらしい。ありがたい。

タクシー(というか普通の人の車)に乗って1時間ほど、山が近づいてきたところで降りる。法海寺には明代の壁画を見に来た。まだ前のツアーが終わらないので、大雄宝殿(日本で言う本殿)の前で、靴にカバーを被せながら待つ。

(「大雄」は釈迦のこと。余談も余談だけど、ドラえもん中国語版(『哆啦A梦』)の野比のび太は「野比大雄」なんですよね。キャラクターへの理解を感じる。単に主人公っぽい名前にしただけかもしれない)

 

1439年創建の寺で、壁画を制作した工人の名前が幾人も梵鐘に刻まれている。堂内は真暗なので懐中電灯を持って中に入る。その弱い光でも分かるくらい色彩がよく残っている。水月観音普賢菩薩文殊菩薩の三尊、閻魔、童子、獅子、白象などの列、牡丹に菊花に蓮の花。瓔珞には「沥粉贴金」という技法が使われていて、光源を一つに絞ると絵画の部分が沈み、瓔珞だけが浮かび上がる。盛粉を泥状にして細く練りだして描き、その上に金箔を貼っているようだけど、日本画胡粉を盛り上げるあれに似ている。日本語で何というんだろう。

ともあれよいものをみたな。1人じゃ絶対に来なかったし知らなかっただろう。順調に「菩薩」とか「釈迦」みたいな方面の語彙ばかり増えているけど、日常生活で「菩薩」が言えなくて困る場面って、多分ないな。

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水月観音。これは複製品

回族の街で羊の内臓のスープと面茶を食べて、雍和宮に行く。チベット仏教のお寺で、お坊さんが忙しく歩きまわり、参拝者はお香を焚き、五体投地して祈っている。軽く真似するのも失礼な気がしたから見るだけにした。中国人の友人は浅草寺に似てるって言ってたけどコメント難しいよ。

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和宮乾隆帝の時代の獅子らしい

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車から 同じ建物がざーっと並んでるの中国っぽい

今気がついたけど、ただ付いていっただけで一日で漢族の寺イスラムチベット仏教を回ったことになる。天才的なアテンド。

 

3/11

午前、美術考古の授業。漢代に突入。

午後は中国語の宿題、をやる。 今日も青空だった。

 

8年目ですね。日本だとみんな少しは考えたり思い出したり思い出すのをやめたりしてるんだろう。こちらにいると何も分からないし、何も無かったみたいだ。

距離よ。

Beijing 3/6-3/9

3/6

晴天だった。霧の都にも青空が。

あまりに嬉しくて、朝8時からの授業のあと自転車で学内の川沿いをひた走った。

東京のカンと晴れた冬空よりはすこし弱さのある光。猛獣のような夏の北京の太陽光との落差におどろいてしまう。スモッグの指数は一桁だった。

設立当初からあるらしい建物や、図書館の旧館など、回れるだけ回る。霧靄に隠れて気が付かなかったけれど、この大学にはそれなりに美しいものがあるのだ。その一つが学生たちなんだけれど、みんなほんとうによく勉強するので新学期が始まって1週間ほどなのに図書館の机に空きがなかった。ひとまず適当に手にとった紀行文の本を借りて帰った。

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清華学堂 多分一番古くて有名なたてもの。中はまだ授業に使われている。

3/7

朝6時起き、自転車で公安局へ。以前はビザセンターに処理を頼めばそれで終わりだったようだが、最近新しく増えた手続きらしい。なんなんだ。面接をして偽りがないか確認するのだと思う。思いの外早く終わり、寮に帰る。

午後は清華大学の博物館を見学する。「清華簡」に関するコーナーが面白い。周代の竹簡で、一つ一つ文字が解読されている。現代美術の展示を見ていて思ったけど、Seriesの中国語の音訳(翻訳?)が「系列 xi lie」なの冴えてるな。

 

3/8

友人に北京料理の店に連れて行ってもらう。さすがこちらの人はタクシーアプリの使い方が熟なれていて、気づかないうちに店の外に出たら車が呼ばれていた。すごい。

ここ数日の晴天について聞いてみたところ、党大会があるから工場の規制がかかっているらしい。ぼくが呑気に喜んでいたのは人工的な晴天だったんですね。そういえばここは共和国の首都だった。

それから、北京によくいる、烏ほどの大きさの青と白の翼の鳥の名前を教えてもらう。「喜鹊」。そうだ、かささぎだ。七夕の宵、天の川に翼で橋を架けてくれる鳥。「彦星の行合を待つかささぎの渡る橋をわれにかさなむ」。かささぎは、中国や朝鮮半島にはたくさんいるんだけど、日本では佐賀はじめ北九州にしかいない。菅原道真太宰府で都の栄華と家族を偲んでこの歌を詠んだんだよ。彼の時代に生息していたかは知らないし、限られた地域にしかいないなら、中国のお話に出てくる「鵲」がこの鳥だって当時推定できるとは思えないけど。今も実際の姿は知らないけど有名な鳥一位という感じだし。でも今は偶然にもけっこう彼の近くにいるんだな。翼を借りられるくらい。

 

3/9

4時間通しの授業のあと、隣の大学でやっている日本人会の新歓に混ざりにいった。初めてコールというものを聞いたよ。なぜ二次会までいってしまったのか、虚無すぎて途中でサッと抜けた。すでに異文化に身をおいているのに日本人同士でも異文化があるんだよなあと実感する。そしてやっぱりこちらでも大学ごとに学生の雰囲気がある。

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寮のテーブル 研究室からもらった紅茶とピーナツ(一袋)。あと苺が300円しなかった。安い。

とはいえ慣れないことにもほどほどに挑戦しつつ、やりたかったことはぶらさずに楽しくやりたい、バランスかあ。

 

 

Beijing 3/3-5

3/3

頤和園に行った。

ここは「清朝皇帝の夏の行楽地」。ということはベストシーズンは夏なんだけど。とりあえず近場の観光名所は回っておきたいし、大学の中に閉じこもる生活が既に辛くなってきていて、自転車でさっと行ってみた。アメリカからきた女子高生と待ち合わせていく。

頤和園はもともと乾隆帝が「清漪園」として整備したもので、その後円明園と共に英仏連合軍にボロボロにされてから光緒帝が再建、名前を変えて皇帝の夏の行楽地とした、らしいのだけど、その後も何度か戦火に巻き込まれている。そういった歴史を四ヶ国語で記した立て看板が要所要所に立っている。音声ガイドも、レコーダー型のものとQRコードで読み取って解説を訊くものなどがあって、世界遺産ともなるとさすがに手厚い。

大きいカメラは北京の街中ではなかなか怖くて取り出せない。やっと使う機会が来たと思っていたのに、SDカードを忘れて結局写真は激安スマホで撮った。女子高生の良いカメラでお互いを撮り合って、気持ちだけ彼女の年に合わせて3時間ほど歩き回る。彼女がゆっくり喋ってくれる英語と、中国語が混じってぐちゃぐちゃになった私の英語と、お互いの第一次的な欲求や反応だけは中国語で、やりとりする。遠目で日本人かな〜と思った男の子たちがやっぱり関西弁でじゃれていた。

彼女とは「(あの日本語)わかるの?」「わかるよ」とだけ交わした。

 

薄曇りの湖面では楼閣が遥かに柳の枝から覗いている。風情はなかなか漂っていたけれど、この霧は多分雾霾(PM2.5)、皇帝の見た湖とは別物でしょう。この日は丁度スモッグが濃い日で、4時間ほど歩いて頭痛が悪化して、諦めて、帰宅した。文昌院という展示施設では戦火から逃れた文化財が展示されており、VRだのタッチパネルだのとエンターテイメント要素をうまく混ぜていた。

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昆明

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川辺のみなさま

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仏香閣から

湖畔では、おじさんが水筆でおめでたい言葉を端麗に石畳に書く、拍手が起こる、の繰り返し。

この庭園は柳が青くなったほうが綺麗だと思う。夏になったらまた行こうね。

 

3/4

朝6時に起きて食堂に行き、8時からの美術考古学の授業に出る。中国語の勉強をして、夜はこちらの日本人の先輩に大学内を案内してもらう。寮に戻ってジョジョ4部1-2話を数人で見る。

 

3/5

ドライヤーが使えなかったのは私の部屋だけらしい。寮のスタッフさんたちが配電盤をいじってくれて、使えるようになった。留学生寮だからこちらの言葉の拙さに理解もあったけれど、外で暮らすとなるとより辛いでしょう。諸手続や食事も含めて学外だったら絶対に暮らせていない。同じ棟に住んでいる友人は寮のスタッフに誕生日メッセージ カードをもらったらしい。別の部屋の人と間違われてだけど。そんなことあるのか。留学生しかいない棟だからかな。やっぱりやさしいね……(Wordで作ってペラペラの紙に印刷して切り抜いて、その日誕生日の人にあげてるみたい。にこちゃんマークがかわいくて切ないよ)

ちなみに本当に今日誕生日の人は恐らく私の隣室です。パーティーしている理由が分かった、おめでとう。